化学肥料のメリットデメリット
農作物に必要な三大栄養素は「窒素」「リン酸」「カリウム」。
土に含まれるこれらの栄養素のバランスは、農作物の成長に大きく影響します。
そのため、これらの栄養素を摂取できる土づくりが非常に重要になります。
土の栄養素を補充するために与えられるのが肥料で、素材によって有機質肥料と化学肥料に分けられます。
利便性から、多く生産者が化学肥料を使っているのが現状です。
有機質肥料
自然にあるもので、油かすなどの植物由来原料のものと、鶏糞や魚粉などの動物由来原料のものがあります。
化学肥料に比べて、即効性は低いですが持続性に優れています。
化学肥料
成長を助ける成分を人工的に作り出した肥料です。養分が一種類の「単肥」と二種類以上の「複合肥料」に分けられ、「複合肥料」の中でも化学的操作を加えたものを「化成肥料」とよびます。有機質肥料に比べて、持続性は低いですが即効性に優れています。
化学肥料のメリット
・生産性があがる
土壌を短期間に容易に整えることができるので生産性や収穫量が高くなります。
・即効性が高い
土によく溶け、栄養素が素早く行きわたるため即効性があります。
・手間がかからない
成分の含有量がわかるので、土壌に足りない成分を必要なだけ与えられ、手間をかけずにコントロールができます。
・入手が簡単で安価
大量生産されているため入手しやすく、有機肥料に比べると安価であるためコストを抑えることができます。
化学肥料のデメリット
・持続性が低い
作物にすぐに吸収されるので即効性がある反面、持続性がありません。
・土壌環境の悪化
過剰摂取すると、土の中の微生物が死に、微生物を食べる生き物がいなくなり、生態系がくずれる危険性があります。そうなると、土が固くなり、活力のない土になってしまいます。
・環境汚染の可能性
化学肥料は水に溶けやすいため、作物が吸収できなかったものが地下水や河川に流れてだし、環境汚染につながる可能性があります。
・人的影響
過剰摂取すると、作物に残った成分を人が口にすることで健康被害が起きる可能性があります。特に、硝酸態窒素が引き起こす健康障害については各種報告がされています。
・味の変化
窒素分が多くなることで、「苦味」を感じることがあります。また、自然の甘みを感じられなくなったり、作物そのものの味が落ちた、と感じる方もいるようです。
消費者として何を選ぶか
化学肥料のメリット・デメリットを見てみると、メリットは生産者にとってのものが多いことがわかります。
最初にお伝えしたように、農作物に必要な三大栄養素「窒素」「リン酸」「カリウム」のバランスの良い土が良い作物を作ります。
自然栽培に取り組む生産者は、手間と時間をかけて土づくりを行います。
その結果、自然の力から栄養素を享受し、農薬や肥料を使わず、美味しくて安全な作物を作ることを実現しています。
安価だから、形がいいから、と選ぶのではなく、人と自然にやさしい物を選びたいものです。